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2015-05-12 17:00

政治

労働省、家政婦の海外出稼ぎ労働を停止

海外労働者問題
家政婦による雇用主刺殺での事件がきっかけ
4日、インドネシア労働省は、海外での出稼ぎ労働問題に関して、サウジアラビアをはじめとする中東を中心に21カ国・地域には、家政婦の派遣を停止することを発表。

派遣を停止する国として上がっているのは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、クウェート、エジプト、イエメンや南スーダン、イラク、パキスタン(情勢の不安定なため)など。

すでに就労している場合については、必要な手続きをすれば、契約の延長を認める、としている。

背景には、インドネシア人労働者の労働条件や人権保護が不十分なことがある。

2010年1月に起きた、サウジアラビアでの家政婦による雇用主刺殺での事件。サウジアラビア当局は、家政婦に死刑判決を下し、2011年6月18日に斬首刑が執行された衝撃的な事件があった。

この事件では、雇い主の暴行に反撃しようとして起きてしまったもの。また、死刑執行後にインドネシアの家族に通知、という理不尽な対応が各方面から批判された。

当時のユドヨノ大統領も「事前通告なしに斬首刑が執行したことは、国際関係上の規範と礼儀を破るもの」としてテレビ演説で発言したことからも、波紋が広がった。インドネシア国内に反サウジアラビア感情による、抗議デモが発生した。

派遣停止に伴い、労働集約型産業への優遇措置を講じるなどして、雇用創出や就業支援に努める、としている。

サウジアラビアでの現状
サウジアラビアには、様々な国から労働者が働きにきている。このため、外国人労働者と雇い主とのトラブルもあり、死刑判決が下されることも多くある。

サウジアラビアで働くインドネシア人女性労働者は、80万人もいるとのこと。労働条件の不安定さ、賃金不払いの他、性的虐待などの問題が起こることもある。

サウジアラビアの海外労働者は、雇用主らにパスポートを預けなければ働けない身元保証制度が問題視されている。虐待などにより職場を逃げ出しても、パスポートが無いため、不法滞在者となってしまい、悪循環に陥ってしまうことになる。

インドネシア人労働者の人権保護に関する覚書に、サウジアラビア政府が署名するまで、労働者派遣を中止する措置をとる。

海外労働者の実態
労働者派遣保護庁(BNP2TKI)によれば、昨年1年間の海外への出稼ぎ労働者は約429,900人にのぼるという。職種別では家政婦が最多。約13万人だ。介護・ベビーシッターは、約49,100人、農園関係が約47,800人となっている。

派遣先として、マレーシア、台湾、サウジアラビア、香港。それぞれ約127,800人、約82,700人、約44,300人、約35,000人が渡航している。日本にも約2,400人、韓国には約11,800人、中国には約900人となっている。

海外労働者には劣悪な労働条件の他、事件や事故に巻き込まれた際の処遇が問題になることもあり、外交問題に発展することもある。


外部リンク

労働者派遣保護庁(BNP2TKI)
http://www.bnp2tki.go.id/
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